Pink Tech シリコンバレー

iPadが教科書になる ー アップル流の教育改革

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Apple in Educationのスクリーンショット



 今日の話題は何と言ってもこれです。アップルがiPadを使った教育サービスを始めると発表しました!

 サービスの大きな柱は3つ。まずはiPadで電子教科書が取り込めるソフト、「iBooks2」をリリースし、ここから電子教科書が購入できるようになります。さらに、教材向け書籍編集用の無料ツール「iBooks Author(アイブックス・オーサー)」も無料でリリース。これで教育関係の出版社、および誰でも教科書を作成することができます。画像を見ていると、とてもサクサク、簡単に作れるように見えますね。最後に、世界中の大学の無料講座を見られるアプリ、「iTunes U」を発表しています。例えばスタンフォードの無料の物理のクラスの授業を見る事ができたりと、今のところ50万以上の講義、ビデオ、本などが無料で楽しめるようになっています。

 さすがインターフェイスも美しいですし、ワクワクしますねぇ。素晴らしい教育のリソースになると思います。今BLOGOSさんのページで、「教科書は電子化すべきか」という議論で意見を募集されていますが、これは電子化に向かう他無いような気がします。美術、科学など、特定の学科では特にそうです。

 iPad上の電子教科書では、生徒がオーディオ、ビデオ、写真などを楽しめるようになります。例えば美術の教科書では、世界遺産のビデオや写真を見ることができ、理科のクラスでは、地層の写真を見たり、火山の様子を実際にビデオで見たりすることが出来きます。私は中学生くらいのとき、美術のクラスで教科書の他に「図解」の教科書がありました。教科書に出てきたゴッホの絵を、図解の教科書で確認する…ということをやっていた訳です。しかし、そんなことをせずとも電子教科書であれば、すぐにiPad上でアートを確認できる。さらに動画も見られて、ノートも取れるということで、学生さんにとっても、教育の質の向上としても素晴らしいことだと思います。

 ただ、一つ疑問視されているのが、廉価版でも500ドル(日本では4万円5千円ほど)のiPadは、果たしてどれだけ学生に普及するのかということです。学校がインフラとして用意するにしても、アップルがどれだけディスカウントできるのか?もし親が準備するとしたら一人1台×子供の数が必要です。落として壊れてしまうことだって、ありますしね。教科書自体はかつて75ドルほどのものが電子版で15ドル以下になるという事が発表されていて、こちらは安くなりそうですが、ハードウェアはどれほど普及していけるのか?高所得、中所得であれば、問題なく買い与えると思いますが、低所得層だって多い訳で、そのあたりでどう普及して行くのか。

 それからサプライズだったのが、教科書販売を高校生向けからスタートさせたということです。事前の予測では、大学生向けの教科書販売になるだろう…と言われていました。もちろん大学生向けの教科書も今後整えて行く訳ですが、スタートは高校生の教科書です。恐らくアップルは若いオーディエンスから取り込んで行くことで、将来より大きな普及を見込みたいと考えているのではないでしょうか。今の高校生が大学生になる3年後には、iPadに慣れた学生が電子教科書を選択する…という感じになっているかもしれません。

 高校生と言わずとも、今iPadは幼児を持つ親に大人気で、親が子供に買い与えたいおもちゃとなっています。iPadにはお絵描きや、ゲームといった幼児用のソフトフェアがかなり多く、幼児や子供がじっと黙って一人で遊んでいてくれる。レストランなどで持たせておくと、最高なのだそうです。こうして、若いオーディエンスを上手く取り込んでいるアップルなので、子供・学生がアップル製品を愛用し、大人になった時、やはりアップルのコンピューターを使いたい…という事になる可能性は大きいですね。

 という言う訳で、ちょっと長くなってしまいました。とにかくアップルが仕掛けるデジタル+教育で、教育分野は素晴らしく飛躍しそうな予感です!


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by katoyasuko | 2012-01-20 13:37 | タブレット端末

ジャーナリスト加藤靖子のブログです。ニューヨークで日経ビジネス勤務を経て、フリーに。シリコンバレーから、テック情報を書いています。メールはmail@yasukokato.com 。Photo:Takahiko Marumoto
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加藤靖子。1982年9月11日東京生まれ、九州育ちの29歳。
中央大学在学中から、マガジンハウスの編集部アルバイトに明け暮れる。卒業後米Pace大学に留学。在学中にジャーナリストのアシスタントをしながら、フリーで原稿を書き始める。
卒業後、2007年末から日経BP社ニューヨーク支局勤務。ビジネス・経済誌「日経ビジネス」編集部で、大統領選挙、金融危機、自動車産業の低迷などをレポートし、刺激的な日々を送る。
2011年からサンフランシスコ郊外、シリコンバレーに引越し。フリーになり、「日経ビジネス」「日経デジタルマーケティング」などに記事を寄稿。
最近はすっかりテック系ニュースに目覚め、シリコンバレーでテック系イベントに出席したり、インタビューを行ったりしている。
最近のインタビューは、シェリル・サンドバーグ(Facebook COO)、ナビーン・セバデュライ(Foursquare共同創業者)、ガ・ワン(Smule共同創業者)など。

好きなことは料理、体を動かすこと、友達としゃべること、ファーマーズマーケットに行くこと。
仕事とプライベートをあまり区別せず、楽しく仕事をしています。

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